AKITA SPO魂 vol.1 北都銀行バドミントン部 原田利雄監督 楠瀬由佳選手

 北都銀行バドミントン部は、2004年に国内最高峰の日本リーグ1部に昇格。これまで7年連続で8チーム中5位の北都銀行は、Aクラス(4位以内)を目標に戦ってきた。今年3月で休部となった、同リーグ3位のパナソニックバドミントンチームからナショナルメンバー(日本代表)の三木佑里子選手、米元小春選手が移籍。そして新キャプテンに入行8年目の楠瀬由佳選手が就任し、北都銀行は1部昇格から9年目のシーズンに挑む。

——原田利雄 監督インタビュー——
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 「優勝したい」。原田監督は真剣な眼差しで口を開いた。日本リーグで7年連続の5位。これまでAクラス入りとしていた目標を「優勝」とした理由をこう話す。「ずっとAクラス入りと言ってきたが、それで今まで5位。じゃあ優勝にしようと」

 原田監督の言葉には、今シーズンへの期待感と勝算がある。「三木佑里子選手と米元小春選手がダブルス日本ランキングで5位、シングルスの楠瀬由佳選手が昨年7戦中5勝で敢闘賞を獲得した。トータルでみてAクラスはいける」。さらに原田監督は、大卒3年目の村山祐美選手・穴井友喜選手に対しても「大卒3年目なのでそろそろ爆発してくれるんじゃないか。いつまでも三好奈緒選手、馬上愛実選手に頼っている訳にはいかない」。と若手の奮起に期待を寄せる。

 今季は移籍選手2名を含む4名が新たにチームに合流。特にダブルス日本ランキング5位の三木佑里子選手・米元小春選手が加入したことでチーム内競争が激化した。そんなチームの様子を「今はピリピリしてるからね、当然ただならぬ雰囲気で毎日練習してる。でもそれは若手とベテランの相乗効果でしょう」。と話す。「これまでウチは仲間意識が強かったので、日本リーグ上位のチームに比べ、競争意識が欠けていたと思う。その分団結力があってその力で乗り切ってこれたのもある。今後は両方の力で戦っていきたい」。と今は競争意識の高まりを歓迎している。

 楠瀬由佳選手をキャプテンに任命したことについては、「自分の事ばかりではなく、周りも見れるようになってほしい。なにが自分に足りていないかは本人が一番よく解っているはずだ」。と成長を期待しての指名だったと明かした。

 二ツ井高校出身の原田監督には、地元秋田の選手を輩出したいという考えもある。「現在はチームの全員が県外出身者。バドミントンの普及・発展のために組織した北都ジュニアを充実させて、サッカーのユースチームのようにしたい。北都銀行を引退した選手が指導者となり、ジュニアから出る選手たちが北都や他のチームに行けるようなシステムを作っていきたい」。と展望を語った。

 2003年に北都銀行の監督に就任。翌年にはそれまで2部だったチームを1部に昇格させた。「ウチは専用の体育館はないけど、地域貢献活動したり、仕事もしてる。選手は大変だと思うけどね」。と言いながらも「こんなチームは他にはない」。と胸を張る。チームは週2回のジュニアスクールに加え、特別支援学校での指導などの地域貢献活動や、被災地復興支援活動を行う。そんな中、日本のトップリーグで戦い続けることは並大抵ではないはずだが、原田利雄監督率いる北都銀行は悲願のAクラス、そして優勝へと突き進んでいく。

 

——楠瀬由佳 選手インタビュー——
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 「背中を見てついて来て欲しい」。口で言えるタイプではなく、行動で示したいと言う楠瀬由佳選手は今季キャプテンに就任。

 「自分がキャプテンに選ばれた理由は周りが見えていないから。もっと周りを見て、プレーでも相手をしっかり見てやれよ、という意味があると思う」。と原田監督からの指名の意図を理解していた。

 昨年には日本リーグで北都銀行初となる敢闘賞を獲得したものの、自身は満足していない。「個人の目標として全日本総合バドミントン選手権大会がある。そこに行くまでの個人戦で、いままで良い成績を残せていない。まずは全日本総合までの試合で勝つこと」。と目標を掲げ、「夏のトーナメントになると、どうしても続かない。勝ち進むと試合が続くので最初から全力とはいかないし、要所要所で力を出せるようにしないと勝てない。それがまだできてない」。と課題の克服にも取り組む。

 キャプテンとして、チームで挑む日本リーグにも強い思いがある。昨年チームは4勝3敗。3つの負けのうち、自分が敗れた試合は2つある。「昨年負けた2試合ともファイナルゲームまでやって負けたので、詰めが甘いなと思う。今年はもっと強い気持ちを持って臨まなければ」。と意気込む。

 2011年4勝、2012年5勝とシングルスのエースとしてチームを支えてきた。今季は日本ランキング上位の選手が加入するなど、チームをまとめる苦労もあるが、これからはキャプテンとして責任感を持ってチームを牽引する。今シーズンの更なる活躍と成長に期待したい。

 

●プロフィール

原田 利雄  はらだ としお
 二ツ井町出身。日本大学卒業。
主な経歴
 1989年 NTT東北バドミントン部監督
 1993年 七十七銀行バドミントン部ヘッドコーチ兼任
 1993年 宮城県バドミントン協会強化委員長
 2004年 NTT東北支社からNTT秋田支店に配属 秋田県バドミントン協会強化委員長
 2005年 北都銀行バドミントン部ヘッドコーチ
 2005年4月~2008年2月末まで 秋田県教育委員会に出向
 2007年 秋田わか杉国体バドミントン競技総合優勝
 2008年 NTT東日本退職 全日本ナショナルチームU21コーチ 北都銀行に入行
 2009年 (財)日本バドミントン協会 東北ブロック評議委員

 

楠瀬 由佳  くすのせ ゆか
 1987年6月9日生まれ。B型。高知県出身。高知西高校卒業。161cm。右利き。
主な成績
 2009年 全日本総合選手権大会シングルス8強
 2010年 ポーランドOP INCシングルス2位
 2011年 日本ランキングサーキット大会シングルス準優勝
 2012年 フランスOP INCシングルス3位




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